築50年ほどの50㎡に満たないマンションに家族3人が暮らしながら自身の仕事、妻のリモートワーク、そして子供がのびのび出来る空間をテーマとした自邸リノベーション計画です。 要望としては、友人が来てパーティができるようにできる限り広い空間、キッチンが充実していること、ウォークインクローゼットのような空間を設えること、ミッドセンチュリーのアイテムが似合う雰囲気の空間を望まれました。空間の大きさに対して、望む機能を当てはめようとすると大きさが足りないことになります。そこでまずは空間の使い方を整理し、兼用できるところは兼用する、加えて来訪者に対応するパブリックな空間とそうではないプライベートな空間とを分け、それらをできる限り仕切らない構成にすることを考えました。 大まかにはパブリックに属するLDK(+トイレ、手洗い含)、プライベートに属する寝室、浴室等の3つに分類され、それぞれを行来できるよう計画しています。家全体が回遊できるような構成となり、建具の開閉で相互の部屋同士が繋がることで、行き止まりの無い広がりのある空間を獲得できないかと思っています。 玄関を抜けると、LDKが目に入ります。日中はミーティングスペースとしても使用できるような場所としており、その一画の壁一面が2人分のデスクスペースとなっていて、LDK全体がワークスペースとして使えるように考えています。 この計画自体はコロナ渦中で始まった計画で、プライベートな浴室等に付随する事が多い洗面台は来客者にも気兼ねなく使えるようにしたいと考えました。 そこで浴室空間から切り離してLDKの脇に配置しています。そうすることで、浴室等を通ることなく使えるので、気兼ねなく来訪者にも手洗いを促すことができるようになっています。 脱衣室には普段の洋服を仕舞うことができるように、クローゼット収納を併設しているので脱衣室兼WICのような使い方ができ、洗濯の家事動線も最小限となるようにできています。 空間いっぱいにマットレスを引いてある寝室は子供達には絶好の遊び場、もしくはテレビや動画の鑑賞空間となっています。 限られている空間に対して、住まい手が「A兼B」のような空間の使い方を許容することは一昔前の日本的な家に通じている気がしています。都内のコンパクトなマンションの1室に多様な空間を内包する方法として、スペースパフォーマンスを上げる「A兼B」の住宅の住まい方はどこか懐かしさを持ちながら都会のコンパクトな住宅に適している可能性を感じています。
計画年:2022年
所在地:東京都台東区
用途:個人住宅
設計:清水豪輝建築設計事務所
施工:有限会社小泉工務店
写真:Lemmart
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